
カメラワーク入門編 Vol.1
9ハイボルUSA/海外で映像づくり。2021/01/19 18:41
ロサンゼルスを拠点に活動する映像制作会社、
ハイボル.でインターンをしているERIです。こんにちは!
ハイボルのホームページはこちら!(www.highvoltageusa.com)
映像制作については全くの初心者の私が、撮影に参加させて頂いた時に、
初めて聞く言葉がたくさんあり
「はい?」
「なんっすか?」
となることが多々あったので、
そのような言葉や日々学んだことをつらつらと書いていこうと思います。

初心者の私が、恥ずかしながら・・・の部分をさらけ出すことで、
少しでも皆さんの参考になったら嬉しいなと思っております。
お勉強することはたくさんあるので、
回を重ねて、順を追ってご紹介出来たらなと思っていますので、
よろしければ、ぜひぜひ第2弾・第3弾とお付き合い頂けたらと幸いです!
第1回目はカメラの動きについての言葉です。
カメラの動きを「カメラワーク」と言いますが、
撮影現場でカメラワーク用語を聞いた時にその単語から想像して、
なんとなーくこんな感じなのかな?という思いでいたのですが、
やっぱりちゃんと知りたい!と思い、
先輩たちに聞きながら勉強してみました。
私が赤ちゃんレベルなので、
知っている人は知っている話になってしまいますが、
恥部をさらけ出す作業を、はじめていきたいと思いまーす。
今回はズームについて2つご紹介していきます。
①Zoom / ズーム
これは流石の私でも分かりました!笑
初心者の私にとっては、ズームして被写体を大きくするくらいのことしか考えていなかったのですが、
もちろん映像のプロの方々はそんなことでは終わりません!
ズームも被写体を撮りながら!その動きを効果的に使うのです。
広角から「ズームイン」すれば、被写体の詳細を見せるのと同時に、
視聴者をその被写体に集中させることが出来ます。
そしてその被写体を強調させることも出来るし、
アクションシーンだったら、そのキャラクターを強く特別に見せることも出来ます。
例えば、ベトナム戦争を題材にしたスタンリー・キューブリック監督の
「フルメタル・ジャケット」のこのシーン。

上記のカットから始まって、

ジリジリとクローズアップカットまでズームします。
このカメラワークによって、このキャラクターだけに焦点が当たり、
「このキャラクターは何か強い思いを抱えているな」
という印象を与えますよね!
更に、ズームを素早くする
「Crash zoom(クラッシュ・ズーム)」を使えば、
テンポよくコミカル感を出すことも出来るし、
非日常感を演出することだって可能になります。
クエンティン・タランティーノ監督の「キルビル」では、
かなりクラッシュ・ズームが多様されています。

ユマ・サーマンさんの目線まで素早く一気にズーム!
カメラワークの効果で、パワフル感が増します。

また、ジリジリとゆっくり寄っていくと、
緊張感を煽ることも出来ます。
よくホラー映画で使われているのは見たことがあるのではないでしょうか?
何か音がして、徐々にその音の方向へゆーっくりズーム…。
それを見るだけで、ドキドキ、ソワソワしてしまいます。
そして、逆に望遠から「ズームアウト」すれば、
被写体と周りの環境・状況の関係性を見せることが出来ますし、
建物や絶景を見せる時にもよく使われます。
一点に焦点を合わせていたところから、一気にズームアウトして、
どれだけ壮大な場所なのかを表すことが出来ます。
②Dolly Zoom / ドリーズーム、Vertigo / ヴァーティゴ
何とも不思議な感覚になる映像です。
このカメラワークにはギアが必要となります。
それは、こちら。

このようなドリーと呼ばれる台車を使い、
カメラを少しづつ被写体に寄るか引くかをしていきます。
と同時に、カメラはその逆にズームしていくのです。
例えば、ドリーで引いていきカメラは被写体に向かってズームインします。
そうすると被写体はそのままのサイズで映っているのに、
背景だけが動くという違和感のある映像が撮れます。
この不思議な映像は、巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督の
代表作「Vertigo(邦題「めまい」)」で利用されたことで、
この撮り方が「Vertigo Effect」と呼ばれるようになったそう。
私の説明では分かりづらいと思うので、こちらをどうぞ!
「ロード・オブ・ザ・リング / 旅の仲間」のこのシーン。
動画の中の2:06あたりからドリーズームが使われています。
https://www.youtube.com/watch?v=3mvDQWOQ2iI&feature=emb_logo
フロド達が楽しくリラックスしたシーンから一転して緊迫感のあるシーンに変わります。このドリーズームも不思議な映像のおかげで更に緊張感が伝わるものになっています。


この2つを比べても、
奥のトンネルの出口の様な穴の大きさはさほど変わっていませんが
道が動いている様な、本当にめまいがしている感覚に襲われ
ちょっと気持ちが悪いというか、時空が歪んだ気分になります。
それにしても時空が歪むって普通に使っていますが、
きっとこの時空が歪んだみたいなイメージっていうのも
おそらく天才的な監督が具現化して映像を作ったんだろうなーと思います。
ということで、せっかくなので、
ヒッチコック監督の「めまい」から、ドリーズームのシーンもどうぞ!
https://www.youtube.com/watch?v=G7YJkBcRWB8
(0:37くらいからそのシーンです。)

これを発明するって、やっぱり天才なんですね!!
この映画を見たことがない人でさえ、この映像を見ただけで、
「あ!このキャラクターって高所恐怖症なんだ」って
一発で分かりますもん!!
とこんな感じで、第1回目のズームはここまで。
奥が深いカメラワーク。
シネマトグラフィーが話題になったり、
凄いと高い評価されるのが納得です。
監督ももちろんですが、撮影監督も本当に凄い!
知れば知るほど、映画やドラマを見るのが更に楽しみになります。
これから映画を見るときには、ズームに焦点を当てて見てみようかな。
これから、まだまだ第2回、第3回と続けるつもりでおりますので、
どうぞよろしくお願いします!
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9ハイボルUSA/海外で映像づくり。フォローL.A.拠点の映像制作会社、High Voltage Entertainment, Inc.(略してハイボル)。スタッフが日々交わす会話のキーワードから、「撮影に関する豆知識」「絶景撮影スポット」「必見の食や旅の情報」など、現地のリアルでフレッシュな情報をアレもコレもギュッと。